会社には現金が必要なのか
「会社には現金が必要だ」と言われることが多いですが、どの会社でも現金があれば必ず有利に働くのでしょうか。
今回は会社に現金があることの「メリット」の側面そして「デメリット」の側面をそれぞれ理解することで、自社に現金があるという状況が有利に働くかどうか、考えていきましょう。
会社に現金があるメリット
融資を受けやすくなる
現金を所有していると、融資を審査する際に有利に働きます。
融資に際して評価される条件は「事業性」や「キャッシュフロー」など多岐にわたります。
中でも今回注目したいのは「自己資本」が評価される場面です。
自己資本とは返済する必要のない資金のことで、現金などの資産も自己資本に含まれます。
つまり現金をある程度持っているだけで、融資が有利に働くのです。
経理業務が可視化される
現金を所有していると、経理業務にもメリットがあります。
常に手元に現金があるということは、売上の回収サイクルが円滑であることを意味します。
手元の現金と帳簿をすり合わせれば良いため、資金の流れが分かりやすくなるのです。
記帳に関しては煩雑になるというデメリットはあるものの、お金の流れを把握する上では高い効果が見込めます。
黒字倒産のリスクを回避できる
「黒字倒産」は売上があるにも関わらず、倒産してしまう状態です。
黒字倒産の原因は主に「手元に現金がないから」であるため、手元にいつでも動かせる現金があるだけで万が一の事態を防げます。
会社を経営していると、不意に支払いが重なることは珍しくないので、どの経営者も現金をある程度手元に用意しているものです。
会社に現金があるデメリット
「役員貸付金」発生のリスクがある
会社に現金を増やしすぎると「役員貸付金」発生のリスクが生まれます。
現金を多く確保しようとするがあまり役員報酬を減らしてしまう経営者が少なくありません。
しかし役員報酬を減らした結果、生活に困った役員からお金の借り入れを求められ「役員貸付金」が発生するリスクが生まれます。
役員貸付金は銀行からの評価を下げる要因になるため、役員の報酬を不当に切り詰めてまで現金を増やそうとしてはいけません。
税金が発生する可能性がある
前提として、現金には税金がかかりません。
しかし現金を預金として銀行に預けていると、発生した利息に対して税金が発生します。
その税率は「15.315%」と高く、預けている現金が多ければ多いほど現金は損をしてしまうのです。
とはいえ正しい処理を行えば所得税控除の効果もあるため、メリットとデメリットのバランスを上手く取る必要があります。
適切な金額を見極める
現金を持っていれば万が一の事態を防げるものの、あまりに高額な現金を手元においておくとデメリットが発生します。
経営者には、仕入れや給与の支払いなどに必要な適性金額を計算し、多すぎず少なすぎない現金管理が求められるのではないでしょうか。